
コウヤマキは陰樹で暗い所でも生育するが、若齢での成長は極めて遅いので、一般の山地では植栽しない。そのため、コウヤマキの日本での森林としての総蓄積量は多くない。
移植を嫌うので、移植を行う場合は、根回し、鉢巻を十分にする必要がある。根回しとは太い根を切って細根を発生させることで、鉢巻とは、根を縄などで巻くことである。
材は上質で甘い特殊な香りがある。柑橘類のライムと同じ成分が含まれているという報告がある。材は古代に貴人の棺に使われたことで知られている。関西では、寺院、墓地などに植えられ、神社や寺院に大きな木が残されている。

コウヤマキはモミ・ツガ・トガサワラなどの針葉樹、またブナやトチノキなどの広葉樹と混生する。本来のコウヤマキの適地は深い土壌の適潤地であるが、コウヤマキが尾根等の養分のない立地でも生育できるのは、空気中の窒素を固定する根粒菌と共生していることも関係しているからである。
マメ科樹木(ニセアカシヤ、ネムノキ、ハギ、エニシダ)と空気中の窒素を固定する根粒菌との共生は有名である。非マメ科樹木では、コウヤマキをはじめ、ヤシャブシ(本シリーズのヤシャブシ参照)、ハンノキ(本シリーズのハンノキ参照)、ヤマモモ(本シリーズのヤマモモ参照)、モクマオウなども窒素を固定する根粒菌と共生している。

コウヤマキの枝は細く輪生するが余り伸長しないので、狭円錐形の端正な樹形になる。梢頭がとび出すので、遠望しても識別できる。
樹冠は円錐であるが、樹幹は樹高成長が良くないのでずんぐりとした形(うらごけ)である。反対に、ポプラのようにスラッとした樹幹を「完満」と言う。
樹皮は帯赤褐色で、日本の針葉樹種のうち最も厚く、繊維質で、繊維状に長くはげる。指で押さえると弾力を感じる。樹皮は繊維質が強いため、「マキハダ」といい、船や桶などの漏水を防ぐため隙間に充填物として広く使われた。
長枝には2ミリ程度の小さな鱗片葉が、らせん状に互生する。短枝に生じる葉は、1節に20〜45本輪生する。葉は細長いしなやかな線形(長さ6〜13センチ、幅3〜4ミリ)で、さわっても痛くない。葉は2葉が、癒着して1枚の針葉状になったもので、葉の中央のくぼみには白色の気孔帯がある。

雌雄同種で、雄花は枝端に7ミリほどの大きさで、20〜30個(円錐花序)をつける。雌花は楕円形で、1〜2個が枝の先につく。球果は楕円形で、長さ8〜12センチ、径3.5〜4センチ、成熟すると先は外側に反り返る。
うら盆になると、球果のついた枝を仏にそなえるので、枝をとりにくるものが多く、高野山では参拝者に売っている。球果の先にしばしば葉を生ずる性質がある。

種子は鮮やかな褐色で、両側に縁状の翼がある。3〜5月に開花し、10月に結実するが、翌年10月に褐色の発芽可能種子になる。
コウヤマキやヤチダモのような種子は長期休眠型といわれ、発芽するまでに2から3年かかる。その原因は、種子の中の胚が成熟していない状態で、母樹から離れるからである。
このような種子は、一定の温度で貯蔵するのでなく、イヌマキでは4℃と20℃、ヤチダモでは2℃と25℃との変温処理で、それぞれ2〜3カ月間の処理をすれば、翌年発芽する。
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秋篠宮様の第3子の悠仁さまの「お印」はコウヤマキである。「お印」とは、皇族の慣習の一つで、持ち物に名前を書く代わりに、「お印」をつける。「大きく、真っ直ぐに育って欲しい」との願いからと思われる。ちなみに秋篠宮様の「お印」は「ツガ(栂、本シリーズのツガ参照)である」。 <2008.02> |