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シリーズ 自然を読む 樹木の個性を知る、生活を知る

生原 喜久雄

 
 
 
 

 日本には高木種、低木種、つるを含めるとおよそ800の広葉樹が自生している。このように日本で広葉樹の種類が多く、種の多様性を保ってきたのは、個々の樹種が他の樹種と異なった生存・繁殖のための生理生態的な戦略を独自に持っているからである。
 たとえば、全ての樹種が同じ気温、雨量、栄養などの環境条件を好み、同じ時に、同じ方法で開葉・開花・結実・種子散布し、同じ光環境に適した葉を持ち光合成、呼吸をしたら、樹種間の競争が起こり、競争に負けた樹種は消滅し、樹種数は限られてしまう。
 現在、生存している樹種がどのような戦略を持っているのかを判断する主要な要因だけでも次のように多岐にわたっている。

  1. 生育場所:斜面上部・中部・下部
  2. 開葉・開花・結実・種子散布:開葉様式、雌雄異種・雌雄同種(両性花・単性花)、風媒花・虫媒花など
  3. 成長特性:短枝・長枝、長軸分枝・仮軸分枝など
  4. 耐陰性:陽樹・中庸樹・陰樹
  5. 萌芽性:強・中・弱
  6. 樹冠型(樹型):羽状型・中間型・箒状型
  7. 群がり:大群生、中群生、小群生、点生
  8. 根系:浅根性、中根性、深根性

 こうした要因の理解は、消滅する危険性のある樹種を保全するためにも必要である。人間が手を加えれば生存・繁殖ができるのか、他の適した環境へ移した方がよいかの判断の材料になる。また、ある林を、たとえばレクリエーション林、野生動植物の保護林、保健休養林、水源かん養林などに転換させる場合も、個々の樹種の生理生態的な特徴の理解が必要なのである。
 ここでは、主要な高木の1.〜8.に関する生態的特徴について紹介する。ただし、紙面の都合で、個々の樹木について代表的な個性(生態)のみを概説する。

 
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